人月ビジネスモデル限界についての考察1(提案・見積もり活動の軽視)
私の会社はいわゆる人積みのSIerなのですが
この仕事をしていると人月ビジネスの限界を多々感じます。
まずアイデアがタダだと思っている客が多すぎるように思います。
SIerの仕事の流れはこうです。
1. こういうシステム作りたいんだけど、という話しが顧客から来る
ただし、大抵の場合、即システム構築を行えるレベルの具体化された要件ではなく
抽象度の高いリクエストとなっている。
2. リクエストされたシステムに対して最適な構成や機能を検討し、提案する。
3. 顧客が2で提案されたシステムに対しQAを行い、必要機能の擦り合わせを行う。
4. 3まででやっとこシステム要件化されたシステムに対して、設計・実装を行うための見積もりを実施する。
5. 設計・実装を行う。
さて、問題です。
この1-5のフェーズにおいてお金がもらえるのはどこからどこまででしょうか?
答えは5のみです。
ここに日本のゼネコン型IT業界の問題があろうと思います。
仕事の価値としては1-4のフェーズこそ最も付加価値が高いと言えそうな内容なのに
決まったものを作るというフェーズでしかお金をもらえない。
2-4のフェーズには労力も稼働も技術も必要なんです。
2-4のフェーズで費用がかかる、というと
御社の製品を売るための提案活動であるから無償で実施することが当然である、
などと平気でのたまう。
日本の大企業の部長クラスがです。
まぁ彼らの評価はベンダを安く叩いてなんぼの世界なので、
無理矢理な論理を押し付けるのでしょうが。
結果として5のフェーズでビジネスを成り立たせるしかない。
本当は2-4のフェーズをマネタイズできるのがよいのでしょうが、
顧客としても要件定義の段階で費用を発生させるのが厳しかったりもするのでしょう。
我々SIer側もそういうやりかたを考慮しても、メリットがあるのでおつきあいしたりします。
しかし、非常に制約のあるモデルだなと思うわけです。
結局余力がないと対応ができないので、
こちらから断るパターンも多々存在します。
ちゃんとお金をもらって検討すればもっとよいシステムができたり、
失敗するPJをなくせたりするんだろうな、とおもったりもします。
この問題をクリアするには、やはりシステムを内製化するしかないのだろうと思います。
HWや必要なリソース・SWだけを購入し、自分たちで構築する。
なぜか顧客は自分たちのリソースはコストとして考えない人たちが多いので
ちょっとやってみる、というのもできるでしょうし、
作って改修というのもしやすい。
web系のスタートアップなどにはこういう企業が多いのだろうとおもいます。
じゃあ、これが日本の大企業に簡単にできないかというと
年功序列で解雇がしにくい日本企業においては
それだけのIT人材を会社に準備しておくのが難しいのでしょう。
まぁそれは仕方ないとして、
1で訳の分からないどうしようもない要件ドキュメントを投げてくるのだけは
勘弁してほしいんだよなぁ〜(それが言いたかっただけ)